水源かん養機能の維持・改善
当社グループは、事業活動で⽔資源を多く使⽤しており、森林に⽣きる動植物にも⽬を向け、より豊かな森づくりを⽬指すことが、森林の⽔源かん養機能の維持・改善、⽣物多様性の維持・向上、ひいては事業活動の持続可能性を高めると考えています。
KGI(2029年度) | KPI |
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社有林の針広混交林化促進による持続可能な森林経営 |
ほ乳類および鳥類の種類、希少種数 |
土壌の保水力を示す「浸透速度計測数値」 |
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各事業所水源域における森林保全および地域との交流促進 | 各自治体との協定の維持継続 |
水源保護を主目的とした社有林の取得
水源の森には大切な働きがあります。雨は木々の幹を伝わって地面に浸透し、土壌を通過しながらろ過されて地下水となり、その地下水はやがて湧き水となって川に流れ出します。このため森林は「天然の浄水場」と呼ばれます。
また、森林には雨を地中にため、ゆっくりと時間をかけて流出させる働きがあり、洪水や渇水を和らげるため、「緑のダム」とも呼ばれます。網の目のように土の中に広がる木の根は、土や石をしっかり捕まえ、土砂崩れを防ぎます。
私たちが携わる製紙業は水を大量に使用するビジネスモデルですので、2003年7月に購入した社有林である「五位ヶ森」に、「悠久の森」という愛称を設け、水資源保護を主目的に私たちが住む郷土の環境保全に、全社を挙げて正面から取り組んでいます。
また、安芸市と森林保全協定を締結し、水源かん養保安林として森林組合に委託しながら、計画に基づいた間伐を実施しています。
今後も適切な管理をおこない、樹木の健全な生育を助けることにより、良質な保水能力を持つ森林を目指します。
- 「悠久の森・五位ヶ森」のデータ
- 所在地:高知県安芸市畑山姥ヶ谷
- 標高:1,185m
- 面積:240ha
- 樹種:80%がスギとヒノキ
- 森から生まれる水量
夏場は7~8万トン/日
冬場は2~3万トン/日 - CO2吸収量:400トン/年
社有林保全活動
当社の環境方針や取り組みに対する理解を深めることを目的に、社内研修の一環として間伐や植樹をおこなっています。
記念植樹の様子
継続した生物多様性の状況確認(モニタリング調査)
当社グループでは、社有林において、2018年度から専門機関に委託して生物調査を開始し、現在も継続しています。加えて、2021年度からはJ-クレジット制度に基づくCO2吸収源の創出(間伐活動)も開始しております。
生物調査によって、2021年には高知県レッドデータブック2018で絶滅危惧Ⅰ類に指定されている「ツキノワグマ」が確認され、2023年度には環境省レッドリスト2020で準絶滅危惧種(NT)に指定されている「ヤマシャクヤク」が確認されています。
これまでに絶滅危惧種を含む希少種を38種(ほ乳類7種、鳥類27種、植物4種)確認しています。
今後も生物の生息状況をモニタリングし、間伐活動による生態系への影響等も把握しつつ、最終的には、同社有林にて「針広混交林化による生物多様性への貢献」を目指します。
ツキノワグマ
ヤマシャクヤク