(1)RoHS指令
EU(欧州連合)の環境規制であるRoHS指令は、EUで販売する電気・電子機器を対象に、特定有害物質の使用を制限する法律として施行されたものですが、
現在では電気・電子機器業界における世界的な規制として認知されています。
使用が制限される特定有害物質は、附属書Ⅱに示されており、現在のところ、「①鉛、②水銀、③カドミウム、④六価クロム、⑤PBB(ポリ臭化ビフェニル)、⑥PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)、
⑦DEHP(フタル酸ビス(2-エチルヘキシル))、⑧BBP(フタル酸ブチルベンジル)、⑨DBP(フタル酸ジブチル)、⑩DIBP(フタル酸ジイソブチル)」の10物質があります。
この10物質については、「電気・電子機器を構成する部材にどの程度含有しているか」という評価の実施をお願いしています。なお、評価は、「均質素材」ごとにお願いいたします。
また、ここでいう均質素材とは、以下のように定義付けされています。
均質素材:機械的にこれ以上分離できない、均質な材料を指します。紙やパルプ、プラスチック、調剤などがこれにあたります。
(2)REACH規則
REACH規則は、RoHS指令と同じくEUの環境規制です。規制される物質は、認可対象物質(附属書ⅩⅣに収載された物質)と制限対象物質(附属書ⅩⅦに収載された物質)の2つがあります。
このうち、前者の認可対象物質の候補物質を記載したCLS(Candidate List of substances of very high concern for Authorisation)が世界的に調査対象物質として広く認知されています。
このCLSは、これまで年2回の頻度で更新されており(対象物質が追加されており)、更新の都度、お客様から当社に対して含有調査の依頼があります。
この調査は、REACH規則の情報伝達義務を果たす目的で実施しており、当社も購入先様に対して同様の含有調査をお願いしています。これらの調査は、REACH規則の情報伝達義務を果たす目的で実施しており、
購入先様にもご協力をお願いしています。
なお、含有調査には、製品含有化学物質の情報伝達ツールである、chemSHERPAを一般的に使用しています。ただし、CLS更新直後は当社指定フォームの含有調査報告書を使用する場合があります。
(3)GADSL(Global Automotive Declarable Substance List)
各国の自動車関連メーカーで組織されたGASG(Global Automotive Stakeholder Group)から出されている規制化学物質のリストをGADSLといいます。
この化学物質の規制は、以下の3つのレベルに分けられています。このリストで示された化学物質については使用禁止となる物や申告が要求される物があります。
P:すべての用途において禁止(P:Prohibited 禁止)
D/P:使用目的によっては禁止、禁止以外の用途では申告が必要
D:閾値を超えて使用する場合は申告が必要(D:Declarable 申告)
なお、対象物質は、製品含有化学物質の情報伝達ツールである、chemSHERPAに含まれています。
(4)閾値(しきいち)
購入品に含まれる最大許容濃度を閾値といい、当社ではこれを規制対象化学物質の管理基準値としています。
(5)chemSHERPA
chemSHERPAとは、経済産業省が開発した製品含有化学物質の情報伝達ツールです。JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)のAIS/MSDSplus の後継ツールにあたり、
以下のURL から入手することができます。(和英中版あり)
https://chemsherpa.net/chemSHERPA/
なお、chemSHERPAのフォームには、AI(Article Information:成形品)とCI(Chemical Information:化学品)の2つがあり、AIは成形品を、
CIは物質単体および2つ以上の物質からなる混合物を対象としています。
REACH規則のCLSやGADSLなどは対象物質が多いため、このツールを使用すると、供給しようとしている物品に含まれる物質が規制対象となっているかどうかについて、容易に確認することができます。
なお、非開示としたい物質があり、これが規制対象外であれば、情報伝達の義務はありません。
(6)意図的使用
何らかの目的をもって、ある特定の化学物質を添加し、含有させることをいいます。
(7)不純物
天然素材中にすでに含まれており、技術的に除去しきれずに残留している物質、または製造する過程で生じ、技術的に除去しきれずに残留する化学物質を指します。
(8)100%開示
不純物も含めた全ての含有化学物質の「名称」「CASNo.」「含有率」の情報を開示していただくことです。なお、分析データを要求するものではありません。
(9)不適合品
NKKグリーン調達基準にて定められた規制化学物質が管理基準値以上含有しているとき、該当する購入品は不適合品の扱いとなります。
(10)機密情報
機密であることが合意された、もしくは機密であることが告知された情報をいい、有形・無形は問いません。文書や電磁的光学的記録データなどによって開示された情報はもとより、
口頭によって開示された情報も該当します。
(11)個人情報
生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できる情報をいいます。